トリアージの本質

適切な日本語が存在しない仏語を語源とする外来語である。「患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと」(Wikipediaより)などと説明されているため、災害医療の専門用語だと勘違いしている人が多いが、これは決して医療分野に限った用語ではなく、欧米では捜索救助(Search & Rescue)や事業継続マネジメント(BCM)でも使用される概念である。正確に定義すると「災害などのため利用可能な資源と時間が限られている中で、救助を要する資源(注:人とは限らない。物やサービスも含まれる。)が複数ある場合に、最大多数を救助するために救助の優先順位を決定すること。」である。

メディアでも時々紹介される医療トリアージでは、災害などで医療資源に限りがあるにも関わらず、多くの患者がいる場合に、レベル0(死亡者または蘇生不可能者)には黒、レベルI(要緊急治療者)には赤、レベルⅡ(準要緊急治療者)には黄、レベルⅢ(待機可能者)には緑のタグをつけ、赤⇒黄⇒緑⇒黒の順に優先的に治療を実施する。タグ付けの判断は基本的には訓練された医療従事者が、標準化された分類基準(START法)に基いて行う。緊急に治療をすれば助かる可能性が高い人を優先的に治療し、怪我はしているもののすぐに治療しなくても直ちに生命に危険があるような状態ではない人の治療は後回しにするということである。そして、すでに死亡した者や助かる見込みのない者への対応は最後とする。ここで難しいのは黒の判断である。

災害時などのように提供可能な医療資源が限定される中で、大量の怪我人などが発生した場合には、平常時のように先着順で治療にあたることは合理的ではなく、救える命が少なくなる。例えば、次のような場合を仮定する。残念なことに救急救命室に医者は1人しかいない。

「そこへ6人の患者がやってくる。彼らはひどい路面電車の事故に遭ったんだ。うち5人は中程度の怪我をしている。1人は重症だ。重症患者に一日中かかりきりで手当てをすれば助かるが、その場合、5人は死ぬ。逆に中程度の5人の手当てをすれば5人は助かるが、その間に重症患者は亡くなる。医者として5人を助けるべきか? それとも1人を助けるべきか?」(マイケル・サンデル『ハーバード白熱教室講義録(上)』早川書房、18ページ)

これは、あの有名なハーバード大学マイケル・サンデル教授の講義の一コマなのだが、1人を助けると答えた学生はほとんどいなかった。実は、これが典型的なトリアージである。このような場合には、5人の治療を優先して実施することに異論を唱える人は少いだろう。この例でトリアージ・タグをつける場合、難しい決断になるが、重症患者である1人には黒タグをつけなければならない。黒タグはすでに死亡が確認された患者につけるものと思われがちだが、実はそうではない。前掲したWikipediaにも次のように記されている。

黒とは正しくは、「何もしないと死亡することが予測されるが、その場の医療能力と全傷病者状態により、救命行為(搬送も含めて)を行うことが、結果として全体の不利益になると判断される傷病者」のことである。しかし、「その場での救命の可能性がない傷病者」と誤解される事が多い。たとえば、心室細動で心肺停止状態の傷病病者を想定する。初期から心肺蘇生法を行えば、救命の可能性は十分ある。しかし、その心肺蘇生には数人かつ10分以上必要である。その傷病者にそれだけの医療能力を割り当てることが可能ならば赤タグとなり、不可能ならば黒タグとなる。このように優先度分類は相対的なものである。

マイケル・サンデル氏の講義は、上記の6人の患者の例のみならず、様々なバリエーションで議論が促される。講義冒頭の質問は「君は路面電車の運転手で、時速100Kmで走っている。行く手に5人の労働者がいることに気がついたがブレーキが利かない。そのとき、脇に逸れる待避線があることに気がつく。しかし、そこにも働いている人が1人いる。ブレーキは利かないがハンドルは利く。ハンドルを切って1人を殺して5人を助けるか否か?」(上掲書、13ページ)という問いであった。この例でも、1人を殺してでも5人を助けると答えた学生が多かった。同氏は、次に「君は電車の線路の上に掛かる橋にいる。電車が走ってくるのが見えたが、線路の先には5人の労働者がいる。ブレーキが利かないように見えた。そこに自分の隣に橋から身を乗り出しているものすごい太った1人の男がいることに気づく。君がこの男を突き落とせば彼は電車の前に落ちる。彼は死ぬが、5人を助けることができる。君は彼を橋から突き落とすか?」(上掲書、15ページ)と問う。この例だと、彼を突き落として5人を助けると答える学生は圧倒的に少なくなった。何が2つの例で違うのか? 最初に述べた例は行為の帰結(帰結論)に重きを置き、後の例は行為の本質(定言論)に重きが置かれた結果、異なる結論に行き着いたのである。帰結論はベンサム、定言論はカントが有名だが、そこまでいくと哲学の世界に深入りし過ぎてしまうので、これ以上、ここで論ずることはしない。しかし、トリアージという考え方は、ベンサムなどの帰結主義的道徳原理、言い換えれば、「最大多数の最大幸福」を追求する功利主義に基づくものだと言えるだろう。行為の本質に大きな違いがない場合には大きな問題にならないが、それが異なる場合は、社会的コンセンサスを得るのが難しくなる。

現実的には、人としての良心や周囲の反応などのため、必要な資源が不足していることを理由に重傷者に黒タグをつけてしまうのは非常に難しいだろう。しかし、その重傷者にかかりっきりになることによって、他の大勢が救えなくなるという事態は実際に発生しうることである。このような場合には、黒タグではなく、何か別の色、たとえば紫とか濃い赤などをつけ、十分な医療資源が確保できた時点で治療にあたるなどといった仕組み必要だと考える。

さて、このトリアージだが、災害医療(「メディカル・トリアージ」と呼ばれる。)以外の状況でも必要になる。例えば捜索救助(Search & Rescue)である。

今、10人で冬のアルプスに登山しているパーティーがいたとする。そこに突然雪崩が発生し、8人が雪崩に飲まれたが、2人は無事だった。無事だった2人は、雪崩に埋まった8人をどのような順序で救助すべきか、という意思決定の問題もレスキュー・トリアージと呼ばれるトリアージの一種である。

埋まった8人とも雪崩ビーコンを身につけてはいるが、見渡す限り真っ白で、8人の手がかりが全くない場合、無事だった2人が最初にすべきは、まず、山岳救助隊に連絡し、救助隊を派遣してもらうことである。2人で8人を救助するのは難しい。どうしても救助隊に来てもらう必要があるだろう。しかし、ただ、救助隊の到着を待っているだけではいけない。雪崩に埋もれてから30分もすれば死亡する確率が非常に高くなる。2人で協力し、できるだけ早く生存者を見つけなければならない。2人は手分けしてビーコン受信機を使って埋まっている8人から発信される電波の探知を始めた。まもなく、電波をキャッチし、8人のうちの1人の埋没位置を特定することができた。このとき、直ちに掘り出しを開始すべきか否か? この場合、埋没の深さによって答えは異なる(注:雪崩ビーコンでは埋没深度もある程度わかる。)。埋没深度が5メートルだった場合には2人の力で掘り出すのは時間がかかりすぎる。そこで、マークだけして、次の人の捜索に向かい、その人の掘り出しは、後からかけつけてくる山岳救助隊に任せるすべきだろう。しかし、それが50センチくらいの浅いところだったらどうか。その場合、2人でもすぐに掘り出せるので、直ちに掘り出しを開始し、救助してしまった方がよい。その救助された人が元気なら、救助された人にも、捜索活動を手伝ってもらうことができる。埋没地域全体をまずビーコン捜索して8人全員の埋没地点をマーキングし、掘り出しの優先順位をトリアージして確定してから掘り出しを開始すべきとの意見もあるかもしれない。しかし、埋没したと思われる地域が広く、深い雪中をズボズボと歩きながら捜索するには時間がかかり過ぎるような場合には、体の一部が表層に出ている埋没者や掘り出し可能深度の埋没者を発見次第、掘り出していくという意思決定も立派なトリアージだろう。なお、上記の例は8人埋没、2人無事としたが、この数字が逆であれば、当然ならがトリアージの意思決定は異なったものになる。

どこを探すか、という問題もトリアージである。これは、リモート・トリアージとも呼ばれる。雪崩インシデントの場合、例えば、雪崩が流れた先に大きな崖があったとしよう。その場合、その崖の下にまで遭難者が流されているとしたら、まず、生存の可能性はない。従って、崖の下は捜索区域から除外し、埋まっているとしても生存している可能性が高い地域から捜索していかなければならない。目撃者の証言や残留物などの手がかりがある場合にはその周辺に埋もれている確率が高いので、そこから優先的に捜索するのが適切だろう。

船舶遭難などの場合も、最後に位置通報があった地点を中心に、船舶の大きさの他、風向、風力、海流などの気象条件や経過時間などを入力し、コンピューターで遭難船舶の所在公算位置を計算し、そこを起点として捜索区域を設定する。船舶の捜索救助(SAR)の分野では、これをトリアージとは呼んでいなかったが、これもリモート・トリアージの一種と言えるだろう。

その他、ヘリコプターなどの輸送資源が少いにも関わらず、多くの怪我人がいる場合に、彼らをどのような優先順位で病院に搬送するのかという意思決定を「搬出トリアージ」、避難所として使える施設が少いにも関わらず、住居を失った被災者が多数いる場合に、どのような優先順位で被災者を避難所に入れるのかという意思決定を「避難所トリアージ」と呼ぶこともある。

ここまでの事例は、いずれも人命、言い換えれば人的資源に関係するものだったが、トリアージの概念は人的資源以外の物やサービス、事業などの経営資源に対してインシデントが発生し、それへの対応及び復旧が必要な場合にも適用できる。言い換えれば、事業継続マネジメント(BCM)の場合である。今、ある企業で商品Aと商品Bの製造ラインが大災害で被災して製造できなくなってしまったとする。そしてその復旧のために投入できる経営資源はあまり多くない。この場合、どちらの製造ラインを優先的に復旧すべきか。商品Aはこの企業の主力製品で売上の8割を占めているが、商品Bは不人気な商品で売上の2割を占めるに過ぎない場合、商品Aのラインを優先的に復旧するという意思決定には誰も反対しないだろう。しかし、商品AとBが共に売上の5割を占める甲乙つけがたい商品である場合はどうか。この場合、復旧にそれほど時間がかからない方を優先的に復旧すべきである。その方が企業としての損失は小さくなる。では、商品AとBが共に売上の5割を占めるもので、かつ、どちらの復旧に要する時間も同じだが、商品Aについては競合他社の商品Zで代替可能なものである場合はどうか。この場合、商品Aのラインの復旧が遅れるとマーケットシェアが商品Zによって奪われてしまうので商品Aの復旧を優先すべきである。なお、社員などの人的資源と製造ラインなどの物理的資源の2つが天秤にかけられるとしたら、社員の人命救助及び安全確保が最優先になるのは言うまでもない。人的資源は、一度失われたら復旧不可能な最も重要な経営資源であるためである。このような事業継続上の優先順位付けをトリアージと呼ぶ人はまだいないようだが、私は、これを「事業継続トリアージ」と呼ぶことにする。

 

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誤解を招く「ナントカ第一主義」

トランプの「アメリカファースト」、小池都知事の「都民ファースト」、日本の極右団体在特会の「日本第一主義」など、「◯◯ファースト」という表現が誤った理解の下で多用されている。そもそも、あらゆる組織や個人は、当然、自己が生き残る権利を保有しており、これまでのアメリカの政治家も日本の政治家も、言うまでもなく、長期的な自国の生き残りに資するような政策を追求してきている。それぞれの政治家には支持母体のようなセグメントがかならず存在するので、そのセグメントを優遇するようには活動するが、少なくとも、外国や他の組織のために働いているわけではない。そこにあえて「自国ファースト!」などと述べることは、自国以外は皆外敵なので殺してもよい、と主張しているようなものであり、考え方自体が極めて危険であると言わざる得ない。

そもそも、「ナントカファースト」という言葉は、短期的に複数の利害が衝突する場合に、どの利益を優先させるべきかという指針を示す際に用いられるものである。例えば「カスタマーファースト(顧客第一主義)」という語がある。企業は「ゴーイング・コンサーン(going concern)」であり、企業の生き残りのために事業を展開しているのであるが、そのためには、まず、お客様を満足させることが、必須だということである。お客様の満足するような商品やサービスを提供しなければ、それらを買ってもらうことはできないし、その結果、売上は上がらず、利益も出ないので挙句の果てには倒産ということになるのである。短期的には、顧客と自社の利害が相反することがある。例えば、顧客からクレームを言われた時、それを無視したり、責任の押し付けなどをしたくなるが、そうすると評判がわるくなり、他の顧客までも離れていく、ということにもなりかねない。また、長期的な関係を顧客と構築することができるならば、短期的には多少の損失も仕方がない、というような場合もあるだろう。このように、短期的には、顧客の利益を優先的に考えないと、長期的には自社の存亡にかかわることにもなる。これが「顧客第一主義」のいわんとするところであろう。

セイフティ・ファースト(安全第一主義)」という語もある。これは、工事現場などで、まず、身の安全を確保してから、作業に従事しなさいということであり、また、会社の利益と身の安全が競合し、相反する事態となった場合には、安全を優先に考えなさい、という指針である。これも、先に述べた長期と短期の関係で説明がつく。いくら会社の利益のためといっても、無防備のまま、危険な作業を実施し、命を落としてしまったら、長期的な目的である「自己の生き残り」に資さないためである。

組織や個人の日々の運用には、非常に多くのステークホルダー(利害関係者)がいるものである。企業であれば、自社の従業員や顧客、パートナー企業、そして社会全体も非常に大きなステークホルダーである。社会からは、法律という形で規制を受けることもあるし、目に見えない慣習や世論という形で干渉を受けることもある。長期的にはこれらの多くのステークホルダーの利害を調整してバランスをとっていかなれば、いかなる組織や個人が生き残っていくことはできない。法律に違反すれば刑罰という形で社会から制裁をくらうだろうし、他に損害を与えれば損害賠償を支払わされたり、社会的信用を落としたりする。

「カスタマー・ファースト」や「セイフティー・ファースト」というのは、非常に多くのステークホルダーの利害が反するような状態の中で、あくまでも、短期的に優先すべき価値を示したに過ぎずない。

このように考えると、「アメリカファースト」や「都民ファースト」、「ジャパンファースト」などと唱えることは、一見最もなようだが、何の意味もない指針であり、過度の自己中心主義を正当化させる危険な考え方の第一歩にしかならないことがわかるだろう。アメリカのトランプは、「アメリカファースト」と言いながら「白人ファースト」という人種差別を正当化しようとしているに過ぎず、その結果、アメリカ社会に重大な分断を生じさせるとともに、不必要な軋轢を外国との間にも生じさせ、長期的に見れば、アメリカの地位低下へと繋がっていく。在特会などが説く「ジャパンファースト」などもやはり、在日外国人への差別と排斥をあからさまに唱え、排外主義を前面に掲げた人種差別思想そのものである。

小池都知事の「都民ファースト」については、住民税の納税者である都民は、小池都知事から見ればお客様であるので、「お客様ファースト」の言い換えに過ぎないように思えるが、であれば、声高らかに政策標語として唱えるようなものではないだろう。東京都にも非常に多くのステークホルダーがいる。都民もそのOne of themに過ぎず、ビジネスや観光のために東京に訪れてくる他県民や外国人をも満足させなければ、やはり、長期的には東京都にはマイナスとなり、環境や安全に配慮しなれば社会全体を敵に回すことにもなる。納税者、すなわち顧客の立場にたって、お客様たる都民に満足していただけるように税金を使います、と言っているだけなら全く問題ないが、これが、都民以外を排斥するというような極右の差別主義へと繋がっていくと大きな問題だろう。

ナントカファーストという語は、このように誤解を招きやすい標語であり、極端な差別につながりやすいので、あまり、安易に口にすべきではない。ましてや最大多数の最大利益を追求すべき政治家がこれを唱えて排外主義に走るなどというのは絶対にあってはならないことである。

「トランプ氏はペテン師で嘘つき。いずれ独裁者になる」——ジョージ・ソロス氏 | BUSINESS INSIDER JAPAN

億万長者のヘッジファンドマネージャー ジョージ・ソロス氏は1月19日木曜日(現地時間)、トランプ次期大統領(注:執筆時点)は「ペテン師で嘘つき。いずれ独裁者になる」とする自身の見解を繰り返し述べた。86歳のソロス氏はダボス会議で、次期大統領は失敗すると確信していると語った。「彼は“異なる形”の政府を支持している。それは開かれた社会とは正反対の政府だ」。ホロコースト生存者であり、ハンガリー人の移民であるソロス氏は言った。「独裁政治かマフィア国家とでも呼んだ方がいい」。

情報源: 「トランプ氏はペテン師で嘘つき。いずれ独裁者になる」——ジョージ・ソロス氏 | BUSINESS INSIDER JAPAN

 

全く同感と言わざる得ない。彼は、「権力をワシントンから皆さんにお返しする」などと就任演説で述べたが実際は真逆で「権力を自分1人で独占しようとしている」のが現状だろう。一部の国籍の人々の入国を禁止するなど米国憲法違反の大統領令を連発し、自分の気に入らない事実は事実さえ曲げてしまおうとする。科学的事実でさえ消去してしまおうとする。地球温暖化に関する論文その他は連邦政府のデータベースから消去されてしまうとして、科学者が消される前にと慌ててデータのバックアップを急いでいるらしい。

自分の就任演説については、ABCの記者に「この多くの人々の愛に煽れた就任式を見て下さい。・・」などと歴代最小の参加者の下で行われた式に自己陶酔。極めて自己中心的なナルチストであることが伺われる。こうゆう人物には何を言っても無駄。多くの人に愛されていないと気がすまない極端な自己愛の持ち主。自己中なだけなのに自分は米国民のために全てやっていると自分勝手に思いこんでいるだけ。過去の独裁者にも共通して見られる傾向だろう。ヒトラーも同じようなものだったろう。

この政権で首席戦略官に就任したトランプの側近中の側近といわれるバノン(トランプを支える「バノン」の危険すぎる正体 )などは差し詰めナチス政権でヒトラーの側近として仕えたゲーリングのようなもの。

ヘルマン・ゲーリングは、ヒトラーの下で、ドイツ軍の空軍総司令官や国家元帥等を務めた人物で、戦後は戦犯として捕えられ、ニュルンベルク裁判で絞首刑の判決を受けたが、刑の執行前に自殺。刑務所に収容されている際、訪ねてきた米国人の心理学者グスタフ・ギルバートに対し次のように語ったという。

ゲーリングは、肩をすくめて答えた。「もちろん、一般市民は戦争を望んでいない。貧しい農民にとって、戦争から得られる最善の結果といえば、自分の農場に五体満足で戻ることなのだから、わざわざ自分の命を危険に晒したいと考えるはずがない。当然、普通の市民は戦争が嫌いだ。ロシア人だろうと、イギリス人だろうと、アメリカ人だろうと、その点についてはドイツ人だろうと同じだ。それはわかっている。しかし、結局、政策を決定するのは国の指導者達であり、国民をそれに巻き込むのは、民主主義だろうと、ファシスト的独裁制だろうと、議会制だろうと共産主義的独裁制だろうと、常に簡単なことだ。」

「しかし一つだけ違いがある。」と私(※ギルバート)は指摘した。「民主主義の下では、国民は選挙で選んだ代表を通して意見を言うことができるし、アメリカでは議会だけが宣戦布告できる。」

(ゲーリングは答えた。)
「それはそれで結構だが、意見を言おうと言うまいと、国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。簡単なことだ。自分達が外国から攻撃されていると説明するだけでいい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。この方法はどの国でも同じように通用するものだ。」(翻訳:鈴木)

情報源: 改めて考えたいゲーリングの言葉の意味

このゲーリングの言葉の中で、「武力的な攻撃」を意味する部分を経済的な攻撃に置き換えて読めばトランプの発言の背景も理解できる。ヒトラーもトランプも外国を悪者にし、米国民を意のままに動かそうとしている点で全く同じである。

このような指導者が、自由と民主主義を旗印に建国された米国に出現したというのが非常に恐ろしい。ポピュリズムも民主主義であることには変わりないが、トランプを支持せざる得ないような人々を生んでしまったということではこれまでの政権にも責任がある。

米国の三権分立が正常に機能し、トランプの独裁に歯止めが立つことを願っているが、ヒトラーがそうであったように、トランプはその三権分立や米国憲法までをも悪者にし、蔑ろにしようとするだろう。

いずれにせよ、世界にとって最悪の指導者が生まれたことは事実である。独裁者が北朝鮮位の小国ならまだよかったが、なにせ経済的にも軍事的にも影響力が極めて大きい米国である。やはり、日本も自分の身は自分で守ることを考えるべきではなかろうか。トランプがもっと金を払わなければ米軍を撤退させると言うならば、どうぞどうぞと沖縄から全ての米軍に撤退してもらえば沖縄は皆喜ぶだろう。

日本の政権は、歴代、風見鶏的傾向が強いが、間違っても、トランプ支持などという立場を打ち出すべきではない。それは、日本の国際的評価も下げてしまう。カナダのトルドー首相などはトランプの一部国籍者の入国禁止令にすぐに反発し、「迫害やテロ、そして戦争から逃れようとしている人たちへ。カナダ人は信仰に関係なく、あなたたちを歓迎する。多様性こそわれわれの強さだ。」と述べ、トランプを批判した。日本もトランプとは距離をおき、自分達の大切にしている価値は何なのかを鮮明にすべきである。自由、平等、その他、一大統領もどきの力で変えてはならない価値については勇気を持って主張すべきである。

このままトランプの独裁が万一続くような事態になれば米国から優秀な頭脳は流出し、連邦からの独立を求める州が出現し、米国は急速に衰退する。無理に米国一辺倒である必要はない。

最悪の場合は、米国が世界の警察国から世界の侵略国へと変貌するというシナリオだ。国内市場を閉ざし、閉鎖的にすれば、いずれ他国から報復関税をかけられ、米国製品が外国で売れなくなる。そうすると市場を求めて武力を使い、侵略する。これは第二次世界大戦以前の世界で普通に見られた光景である。戦前に実施されていたブロック経済が戦争を引き起こした根本要因である。トランプのような時代錯誤した偏狭な男が大統領なら、「米国のためだ!」と平気で侵略を指示するだろう。そんなとき、在日米軍が日本人に対して、武器を向けてくるというのが最悪のシナリオである。オルタナ右翼といわれる過激な右翼思想に染まっているバノンという人物を政権の要職につけるようなトランプだ。トランプが「金を払わないなら米軍を撤退させる」などとバカなことを言っているうちに、それではどうぞ出ていって下さい、というのが最もよい選択肢ではなかろうか。

The campaign to impeach President Trump has begun – The Washington Post

At the moment the new commander in chief was sworn in, a campaign to build public support for his impeachment went live.

情報源: The campaign to impeach President Trump has begun – The Washington Post

トランプを弾劾せよとのキャンペーンが早くも始まっているらしい。米国憲法上、米議会下院によって訴追され、上院が承認すれば弾劾できる。世界がおかしくなる前に、できる限り早く米議会が立ち上がり、行動を起こしてほしい。

http://www.m2j.co.jp/market/2min_fxreport03.php?id=5223

 

「終末時計」 トランプ氏発言などで前進、60年余ぶり危険水準に

【1月27日 AFP】米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」は26日、人類による地球破壊までの残り時間を比喩的に示す「終末時計」が30秒進み、残り2分30秒になったと発表した。

情報源: 「終末時計」 トランプ氏発言などで前進、60年余ぶり危険水準に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

トランプ=ヒットラー

情報源: 民主主義国家で「虐殺者ヒトラー」は、何故生まれたか? – NAVER まとめ

「過激な反ヴェルサイユ体制で支持を集める」ドイツに誕生したナチス政権ヒトラーは1923年のミュンヘン一揆が失敗したあと、議会を通じて権力獲得をめざす合法戦術に方針を転換し、ヴェルサイユ条約の破棄、大ドイツ国家の建設、ユダヤ人の排斥、不労所得の廃止などを訴え、特に過激な反ヴェルサイユ体制と反ユダヤ主義で注目を集めていました。

  • ヴェルサイユ条約の破棄 ⇒ NAFTAやTPPの破棄、更なる国際条約の一方的な破棄をも検討中。
  • 大ドイツ国家の建設 ⇒ Make America Great Again
  • ユダヤ人の排斥 ⇒ イスラム教徒の入国禁止
  • 不労所得の廃止 ⇒ 製造業の国内回帰促進

このように見てみるとトランプの主張はヒトラーの主張とほぼ同じである。

「教養の低い馬鹿な民衆は、演説に簡単に騙される」ヒトラーはスピーチの相手をきちんと分析していました。大衆は愚鈍だからこそ、同じ言葉を繰り返すのがヒトラーのスピーチの特徴です。演説などの宣伝活動は、学識あるインテリ相手ではなく、教養の低い大衆に対して行うべきであることを何度もヒトラーは強調しています。

トランプの演説も全く同じ。

麻生副総理が「ナチスの手口を学んだらどうかね」と過去に発言し、物議を醸したことがあったが、トランプは完全にその手口に学んでいるように見える。だとすれば、今後、この男がとるであろう手口も見える。国家緊急事態とでも称して、三権分立の停止、米国憲法の停止などを試みてくるだろう。議会は共和党が多数派。共和党主流派はトランプを支持していない様子だったが、もし、共和党が単にトランプの言いなり政党と化した場合、もう、想像したくない程の末恐ろしい事態になる。

 

大統領選で浮き彫り「二つのアメリカ」~日本人地元紙記者が見た分断の姿~:時事ドットコム

 

情報源: 大統領選で浮き彫り「二つのアメリカ」~日本人地元紙記者が見た分断の姿~:時事ドットコム

要するに、明日の生活に困窮する人々がアメリカの半分位を占めるようになっていたということだろう。明日に困るわけだから、長期的なことになど興味があるはずもない。短期的で目先のことばかり言うトランプに支持が集まったのも当然。

トランプとヒトラーとは多くの面で重なる。これを理解するために、下記のリンクは参考になる。トランプの下、アメリカがファシズムに向かっていく可能性が高い(というよりもすでに向かっていると見るべきである)。歴史は繰り返すという。繰り返さないようにするにはどうすべきかという世界全体でのリスクマネジメントが今求められていると思う。

情報源: 民主主義国家で「虐殺者ヒトラー」は、何故生まれたか? – NAVER まとめ

情報源:なぜ歴史は「ヒトラー」を生んだのか?

情報源:ヒトラーはなぜユダヤ人を迫害したのか?