危機管理に関する準備評価と対応システムの標準化について (修士論文)

(PDF版(原本)はこちら

東北関東大震災、阪神大震災、ナホトカ号油流出事故、JCO臨界事故、更には、医療事故から経済危機まで、我が国における危機管理は、準備不足、組織間の連携不足、危機発生後の対応の遅さ等、数多くの問題が指摘されている。危機自体は、どこの国にもあることだが、日本という国は、どうもその危機の発生に備えること、及び、それが発生した後の対応のまずさに、何か致命的な側面があるような気がする。

これまでにも、危機管理が声高らかに叫ばれ、さまざまな研究が行われてきた。火山噴火への対応、地震への対応、放射能事故への対応、数え上げればきりがない。しかしながら、これらの危機管理の共通ベースとなるようなマネジメント・システム自体については、余り多くは研究されていない。どのような危機が訪れても、その被害を最小限に抑え、迅速に回復させるためのシステム、それには、何か共通の基礎的な側面があるような気がしてならない。

「エクセレント・カンパニー」(T・ピーターズ&R・ウォーターマン著、大前研一訳、講談社、1982年)という著作がある。これは、当時、日本との競争に苦戦していた米国企業数百社のなかから業績もよく、イメージも進歩的な優秀な会社43社を選び、他の一般の会社と際立って異なる共通の特徴(エクセレンスのエッセンス)を見出そうと試みた作品である。当初、作業チームは、コンサルタントの用いる通常の経営分析手法によって、ハード・データを基に、定性的、定量的な比較検討を行ったが、何ら共通項も法則性も見出せなかったという。しかし、この研究チームは、ハード・データに固執せず、手法を途中から全てインタビューに切り替え、エクセレント・カンパニーとそうでない会社の共通のソフトの相違点を見出した。それが、エクセレント・カンパニーの8要素(①行動の重視、②顧客への密着、③人の重視、④自主性・企業家精神の尊重、⑤単純で小さな組織、⑥基軸事業への傾斜、⑦価値観に根ざした実践、⑧自由と規律の共存)である。

危機管理においても、このような、いわゆる「危機管理のベストプラクティス」なるものを見出すことができるはずである。

なお、危機管理は、

  1. 準備(Preparedness) (⇒やや弱い)
  2. 対応(Response)    (⇒非常に弱い)
  3. 復旧(Recovery)      (回復力は、これまで非常に強かった。)
  4. 減災(Mitigation)      (かなりの税金が投入されており比較的充実していたはず)

の4つのフェーズに分けて議論されることが多いが、我が国において、減災(Mitigation)に関しては、すでに膨大な予算が投入され、様々な防災設備(堤防、建築基準などの防災インフラ)が構築されてきた反面、準備(Preparedness)と対応(Response)の2つのフェーズについては、非常に多くの問題があると考えている。

このため、準備(Preparedness)のためのシステムとして、準備評価システムの導入を、また、対応(Response)のためのシステムとして、米国にて幅広く普及しているインシデント・コマンド・システム※のような標準化されたマネジメント・システムの導入を提言する。

 

※Incident Command System(ICS)

【このサイトの情報は、私の修士論文を一部編集して掲載している。】

次ページへ

危機管理に関する準備評価と対応システムの標準化について (修士論文)」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 危機管理(Consequence Management) « Safeyon

  2. ピンバック: 危機管理(Consequence Management) « Safeyon

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中