指揮統制通信システム

以前の投稿にも書いたが、災害等のインシデントが発生した場合に最低限確保すべき通信手段は音声通話である。東京電力などのようにお金にゆとりのある企業(それも過去の話かもしれないが)であれば東京本社と各原子力発電所の間に衛星で専用回線を設けてテレビ会議で意思決定するということも可能かもしれないが(実際5年前の事故時には東京と福島との間でテレビ会議を行っていたようである。)、一般的な企業ではBCPのためだけに普段は全く使用する見込みのないような専用回線を確保するためだけに高額な費用を払うことなどできないだろう。

しかし、音声ならビデオ信号に比べて占有する帯域も小さくて済み、コスト的にも安い。実際問題として、テレビ会議で相手の顔が見えないと困るなどということがあるのだろうか。緊張している雰囲気も音声だけで十分伝わるし、図面やその他の画像情報が必要なら、メールやFAXで十分だろう。現場の状況を動画で伝えることは「百聞一見にしかず」というメリットはあるが、テレビ会議は会議室などにカメラが固定されているので、現場の生中継ということを目的にしていない。それに災害の状況などは、自前のカメラマンが現場中継しなくても、テレビ局の中継を見ているだけで多くの場合は十分である。実際、20年前の阪神大震災の後、警察、海保、自衛隊などが撮影するヘリテレ(役所のヘリコプターからのテレビ画像)を首相官邸に接続するためのシステムが巨額の税金を投入して構築されたが、これが役に立ったためしはなく、首相官邸は、NHKや民放の現場中継画像を見ているだけである(東日本大震災の時もそうだった)。

ただし、音声通話でも、伝統的な回線交換式の電話だとつながらないことが多くなる。災害時には、通信需要が急増し、みんな一斉に電話をかけるため、電話交換機を守るために電話会社が通話規制してしまうのである。携帯電話のショートメッセージも同様に携帯電話会社の規制を受けるため、相手にメッセージが到達するまでにかなりの時間がかかる。このような通信規制の影響を受けず、比較的つながりやすいのは普通のインターネットである。インタネットはそもそも軍事通信用にアメリカが開発したプロトコル(IP)を使っているので当然災害には強い。

そこで、音声通話を狭帯域でも通るようにIP化する技術を使う。そして、その音声信号も、通常のVoIP電話のように1対1通話に依存するのではなく、1対n人通話ができる無線機のように使うのである。これはRadio over IP(RoIP)と呼ばれる技術であり、欧米の軍隊や警察などでは、既存のPTT(Push-To-Talk)型無線機のアナログ信号をIP化してIPネットワークに乗せ、さらに指令を伝達するためのシステムもIP化して構築している。無線機とIPベースの指揮統制通信システムを組み合わせることが、緊急時のための通信システムとしては最も効果的である。

http://www.jdc.ne.jp/

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