中小企業BCP策定運用指針

緊急事態発生時には、全体のリーダーである経営者によるトップダウンの指揮命令によって従業員を先導することが重要です。経営者は、指揮命令と情報の管理に注力することになります。また、BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間には、例として以下の機能をもった組織体制が望まれます†6

・ 復旧対応機能 …施設や設備の復旧等、社内における復旧対応
・ 外部対応機能 …取引先や協力会社、組合や商工会との連絡や各種調整
・ 財務管理機能 …事業復旧のための資金調達や各種決済
・ 後方支援機能 …従業員の参集管理や食料手配、負傷した従業員の対応等

これらの機能ごとにチームを構成し、チームリーダーへの指揮命令をリーダー(社長等)が行い、チーム内の指揮命令はチームリーダーが行うという体制が望まれます。また、このようなトップダウンの体制を有効に機能させるためには、リーダーとなる人物と普段より意思疎通を多くとっている、いわゆる「社長の右腕」のような従業員がサブリーダーになることがポイントです。このような従業員を、事前に想定しておくことが望ましいでしょう。
なお、各チームの人数をそれぞれ同程度の人数にする必要はまったくありません。そのチームの役割に必要な人数をそれぞれ割り振ればよいのです。
また、以下のような場合においての体制づくりの考え方も示しておきます。

図 BCP発動時におけるチーム体制の例
図 BCP発動時におけるチーム体制の例

(出典:中小企業庁 BCP策定運用指針)

上記は、中小企業庁のHPを見ていて見つけたもの。恐らく、このピラミッドはアメリカのICSのまねごとをして作ったのだろう。それは別にいいのだが、問題は経営者に権限を集中してこのピラミッドを作れ、と簡単に言ってしまっていることである。ビルのワンフロアで20人位が働いている企業だったらそれでもいい。

しかし、中小企業だって、全国に支店や本店が散らばっている企業もあるだろう。そのような企業で東京の本社社長を筆頭に緊急時だからと言って、全権集中型のピラミッドにしたらどうなるか。例えば、地方の支店や工場が災害に遭ったとし、それを現場から離れた東京の本店の社長が全て指揮するということになると、東京からのマイクロマネジメントが発生し、現場は報告業務に忙殺され、必要な作業ができなくなる。

よく、考えてみれば、この社長を筆頭としたピラミッドを作るということは、平時と全く変わらない組織で対応するということを意味する。社長の下にぶら下げる組織の名称を、米国のICSの真似事をして作り変えたところで、何の意味もない。中小企業庁は、緊急事態の本質を全くわかっていないし、ICSとは何かも全く理解していない。

米国ICSというのは災害現場に立ち上げる臨時組織(プロジェクトチームのようなもの)の組織機能や施設機能を定義し、それらの機能に対する資源の割り当て方のルールなどを定めたものである。その資源や組織サイズというのは、災害の大小によっても異なるし、その指揮官も時と場合によって異なる。しかし、指揮官は現場に近いところにいなければならないのであって、小さなインシデントだったら課長レベルでの指揮、中ぐらいのインシデントだったら部長くらい、大きなインシデントだった支店長や工場長などのようにしなければならない。東京本社の社長の任務は、あくまでも現場の支援であり、現場から資源が足らないから送ってくれと頼まれれば送ってやり、交代要員が必要だと言われれば派遣してやる、といったような調整業務を主とするものにしなければならないだろう。

緊急事態が発生した場合、その緊急事態を解決するための戦略を意思決定するのは現場である。全ての状況が把握できるのは現場以外にはない。日本では「指揮」と「調整」の違いがわかっていない人が多いようだ。

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