権限は何の関数か?

今日の危機管理コンフェランスにて一部の人に「意思決定の権限を現場に委譲するためには予算も委譲しないと・・・」というような意見があったが、権限とはお金との関数だけで決まるものではない。民間企業の所有関係の場合には、持ち株の割合によって確かに意思決定への関与度合は異なる。しかし、緊急時における意思決定権限までをもそれと同じように考えてしまうのは誤っている。

誰が何を決める権限があるのかという問題は、意思決定対象に対する所有権の有無、言い換えればお金との関数であるだけでなく、情報や速度との関数でもある。ピーター・ドラッカーは、

意思決定は常に、可能な限り低いレベル、行動に近いところで行う必要がある(第一原則)。同時に意思決定は、それによって影響を受ける活動全体を見通せるだけの高いレベルで行う必要がある(第二原則)。(「マネジメント 基本と原則」 P192)

と述べたが、この第一原則は、「速度」との関係、すなわち、素早く行動に移すためには、極力、その行動を起こす本人が意思決定者であることが望ましいということ、これに対して第二原則は、「情報」との関係、すなわち、意思決定をするために必要な情報を持っている人が意思決定するのが望ましいということである。この2つは互いに相反するものであるので、このトレードオフの中で最適な意思決定者を決める、というのがマネジメントの基本原則である。

意思決定権限は、地位や階級に対してオートマチックに付随するものではなく、会社の社長や総理大臣なら何でも決める権限を持っていると考えるのはいささか考え方が単純すぎる。日本は独裁国家ではないし、一民間企業の場合も社長による独裁などはない。しかし、今日のコンフェランスを聞いていると、個々の個人の自律的意思決定の重要性を指摘している方もいたが、多くの発表者がこの大きな問題を理解していないようだった。(⇒「初動対応における意思決定」「災害時は逆ピラミッド型組織」)

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