標準化の種類と戦略

「標準化とは何か?」

物や仕組みを標準化するといっても、そのレベルや規模にはいろいろある。全世界的に標準化されているものもあれば、国内だけで標準化されているものもある。業界団体が自らの業界内でのみ標準化したため、業界ごとに異なる標準が適用されている場合もある。法律や条約といった強制法規によって標準の使用を政府がトップダウンで強制化している場合もあれば、民間の中で徐々にその利用が広がっていって事実上の標準(デファクトスタンダード)ができる場合もある。

一定のグループ内である特定の基準やルールを使用することに合意できればそのグループ内に標準ができたということできるが、その対象となるグループが大きくなればなるほど標準化は容易ではなく、時間もかかる。しかしながら、広範囲に使用される標準が一度できてしまえば、マイナーグループで使用されている標準は自然に淘汰されていく。そして、その広範囲に使用されている標準をあとから変更することは難しくなる。

標準化というのは企業戦略上も非常に重要な武器になる。かつて、ビデオデッキの規格をめぐってVHSとベータが激しく争っていたことがあるが、VHS陣営の松下幸之助はこの規格を欧米の競合企業にも無償で公開し、多くの企業がVHS規格を採用したため、これが事実上の標準(デファクトスタンダード)となった。そして、レンタルビデオもVHS方式のものばかりになってしまったため、マイナーグループであったソニーのベータ方式は自然に淘汰されていった。競合企業にもその技術を無償で公開してしまうというのは一見無謀なように思われるかもしれないが、それによって標準ができ、マーケット全体が広がれば、必然的に自社の売上も拡大していくことになる。ベータ方式の方が技術的には優れていたとよく言われるが、市場では技術的に優れたものが必ずしも勝つわけではないのである。標準をおさえることができれば、技術的に劣ったものが市場を制するということもありうるということだ。その意味では、マイクロソフトのWindowsも、アップルのMac OSと比べて必ずしも技術的に優れていたとは言えないが、標準を制して市場を支配した事例と言えるであろう。最もアップル社も最近は別の戦略で反撃していることも事実であるが。

標準化のレベルを簡単に階層化すると次図のようになる。上に行こうとすればするほど、時間もかかるし、容易ではない。しかし、小さなグループで適用される標準、例えば社内標準や地域標準を作ることは比較的容易にできる。そして、その標準を無償で公開していけばやがて大きな標準になるであろう。インシデントマネジメントを標準化する必要性について筆者は過去に何度も述べたが、これも小さく始めて全国に広げる、例えば、東北の一部の被災地で地域標準を作ってそれを全国に公開して広げていく、または、一部の行政機関で使用されている仕組みを他の行政機関にも広げる(欧米の場合はコレ。消防の仕組みが他にも広がった。)、というシナリオを誰かが明確に描き、そのビジョンを多くの人に共有させるなどして、戦略的に物事をすすめる必要がある。マネジメントの標準化というものはかなりの試行錯誤と経験の蓄積がなければうまくいかない。

危機管理の標準化(3_9ページ)

「標準化とは何か?」 

 

広告

標準化の種類と戦略」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 標準化とは何か? | SAFETYON

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中