政府、今日初めて共同記者会見実施(原子力災害広報)・・・やっと今頃になって???

今日、3月11日の原発事故発生以来、初めて、内閣官房、原子力保安院、東電が3社合同記者会見を実施した。これまでは、各省庁、東電などが、バラバラに個別会見し、内容重複や矛盾した会見、「・・・と聞いております・・」的な無責任会見、専門的な単語を並べまくった自己満足会見、テレビが入っているにも関わらずパワポや白板も使わず印刷物をベースとして「・・・ページの何々についてご説明します・・」としてテレビを見ている人には何を説明しているのかわからないバカタレ会見、などなど縦割り組織の悪いところを全て出し尽くし、これ以上悪い会見はないと言えるほど最悪の危機管理広報を実施してきた。諸外国では、大事故が発生した場合には、関係組織が合同で記者会見を実施するのは先進国では常識中の常識。また、危機管理広報の初歩中の初歩。危機管理といったら、「広報」を意味すると思っている人がいるくらい危機管理広報は、危機管理の中心的要素なのだが、今回はそれが全くボロボロだった。今日、それが、多少なりとも一歩前進したように思う。(まだ、関係機関が一同に会したというだけで、各担当者がそれぞれバラバラに説明していたので、実態としては変わらないとも言えるが・・・)。私は、この改善のきっかけは、先週4月18日の参議院予算委員会での脇 雅史 議員(自民) の質問にあるのではないかと思っている。私は、別に自民党支持者ではないが、この先生、よく勉強していると思う。質問と意見の概要は以下のとおりだ。

  • こうゆう大災害では、情報を一番持っている現地に権限を委任し、迅速な意思決定を現場でしなければならない。現地で意思決定し、中央政府はそれを後方支援するというのが筋。そして実は、日本の防災基本計画(原子力編)でもそうゆうマニュアルになっていた。
  • 原子力災害対策特別措置法では、すでに、総理大臣の権限を現地本部長に委任できるようになっている。しかるに、今回は、すべて東京で意思決定をしようとした。これが、諸悪の根源である。
  • また、こうゆう事案では、関係機関・組織が一同に会して対策を大至急検討しなければならない。そのために「原子力災害合同対策協議会」という省庁や県、専門家などで構成する会議が現地のオフサイトセンターに直ちに設置されなければならなかったが、今回は、これが設置されず、官邸だけが先走った。これはとんでもないことである。事前によく勉強していなかった証拠である。
  • 今回は、現地対策本部(オフサイトセンター)が福島県庁へ避難してしまい機能していなかったのではないか?
  • 情報の一元化の意味からも、この合同対策協議会なるものを活用せよ、と基本計画には書かれているが、活用していない。
  • 総理は、3月15日0530に東電本社に官邸と東電との統合本部なる組織を作った。しかるにこれは、何ら法的な根拠もない任意組織である。意思疎通が多少よくなったくらいのものであり、もともと政府に設置される原子力災害対策本部で行えばよいものである。本部が2つもできてしまったわけであり、混乱させただけ。
  • 今回の一連の広報を見ていると、官房長官、保安院、東電がバラバラに会見を開いて報告をしている。しかし、基本計画には、こうゆうことをしてはいけまんせんよ、とちゃんと書いてある。広報は原子力災害対策本部に一元化しなさい、と書いてある。これも、守っていない。

たぶん、今日から合同記者会見を始めたのは、この議員に突っ込まれたからだろう。

私も、防災基本計画の全てを知っているわけではないが、この話を聞く限り、基本的には理論上よくできていたのだな、と思う。おそらく、10年前のJCO事故後、相当に関係省庁も勉強していたので、その結果であろう。海外の先進事例なども勉強したはずだ。

しかし、たとえよくできていたとしても、関係者がそれを熟知していなければ意味がない。こんな分厚いマニュアルを熟知している政治家や役人など皆無。それに、防災基本計画は、地震や原子力、津波などなどについてそれぞれバラバラに個別に策定されている。こんなもの機能するはずがない。今回の災害は、このような分厚いマニュアルが機能しないということが証明されたという点が、一番大きな収穫かもしれない。

私は、災害時のインシデントマネジメントは、災害毎に個別に計画するのではなく、全ての災害に共通して適用できる仕組みを採用すべきであるともう10年くらい前から考えている。そのモデルになりそうなのが、米国のICS(Incident Command System)である。米国ではこの仕組みは、40年くらい使用され、機能している。米国と日本は文化が違うから・・などという人もいるが、そんなこと言っている場合ではないだろう。災害時のインシデントマネジメントは時間との戦いであり、意思決定の遅れが、被害を広げる。この点を再認識すべきだと思う。

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